高校3年生の頃、就職先が自動車関係に決まった私は、業界のことを知るために車の情報を調べるようになりました。
そのとき目に飛び込んできたのが、ランボルギーニ・ガヤルド。

その存在は、私の中の「車」という概念を一瞬で塗り替えました。
角ばったボディ、ミッドシップのプロポーション、まるで獲物を狙う猛獣のようなシルエットと眼差し――
あれほど“かっこいい”という感情を呼び起こされた車は初めてでした。
なんだこのカッコよさは……
それが、私が車を好きになったきっかけでした。
そしてガヤルドは、私にとって「人生で一度は乗ってみたい車」になったのです。
でも、それは夢でしかなかった
当時の私はまだ18歳。ガヤルドは完全に“雲の上の存在”でした。
「一生に一度、本物を見られたらラッキー」
「乗るなんてムリだよな」
そんなふうに思いながら、心の奥の、手の届かない棚に夢をしまい込んでいきました。
もう1台の憧れ、FT-86
そんな高校時代、もう1台、心を撃ち抜かれた車がありました。
それが、コンセプトカーとして登場したFT-86です。

トヨタとスバルが共同開発し、「走る楽しさ」を再び日本に、という熱意にあふれた車。
スタイリングも刺激的で、300万円前後という価格帯も現実的でした。
私は心を奪われ、「発売されたら絶対に買う」と決意。
そして20歳のとき、実車を見る前に契約していました。
納車されたFT-86は、青春そのものでした。
8年間乗り続け、たくさんの思い出を共にしましたが、
二人目の子どもが生まれたタイミングで、ファミリーカーに乗り換えるため手放しました。
27歳、「言い訳する自分」に気づいた
私は結婚し、家を建て、3人の子どもにも恵まれ、家族と過ごす毎日は本当に幸せでした。
けれど、ふとした瞬間に、胸の奥がざわつくことがありました。
それは、かつて抱いた夢――あのガヤルドのこと。
思い出すたびに、自分に言い聞かせていました。
- 子どもがいるし…
- 住宅ローンもあるし…
そうやって、夢を追わない理由ばかりを並べていたんです。
そんな27歳の冬、SNSで流れてきたガヤルドの動画を見たとき、胸の奥がざわつきました。
「……まだ、諦めたくないかも」
その瞬間、私は気づきました。

子どもを理由に夢を諦めてる自分って、
めちゃくちゃかっこ悪いやつじゃん。
高校生の頃の自分が今の自分を見たら、きっとこう言うと思ったんです。
お前、全然かっこよくないじゃん。
「やる前から諦めない。本気で目指してみよう」

そう思ったとき、心の奥ではっきりと決まりました。
夢は待っていてもやってこない。
自分の足で迎えに行こう。
そう決めたのが、ガヤルド購入という挑戦のはじまりでした。
▶ 次章:「支出を整える──浪費を削り、夢を追う土台作り」
夢を実現させるには、まず「現実と向き合う覚悟」が必要でした。
次章では、私がどのように支出を見直し、家計を再構築していったかをお話しします。