第7章:走り出した日──初ドライブの記憶

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キーシリンダー問題を解決し、ついに自分の手でV10を目覚めさせた。

乾いた咆哮が自宅前に響き渡ったとき、ようやく「夢が現実になった」ことを実感できた。

初めてのシフト操作

クラッチを踏み込み、1速にギアを入れる。

金属ゲートを通るときの「カチッ」という音は、まるで儀式のようだった。

ゆっくりとクラッチを繋ぎ、車体が前に動き出す。

「走った…!」それだけで胸がいっぱいになった。

道路に出る恐怖と興奮

正直、走り出した最初の数分は怖かった。

住宅街の狭い道、低速でも響き渡るエンジン音、視線を集める存在感。

大丈夫だろうか──そんな不安もあったが、ハンドルを握る手は震えるほど高揚していた。

国道に出た瞬間、V10の回転を少しだけ上げてみた。

吸気の唸りとエキゾーストの爆発音が重なり合い、背筋が震えた。

「これだ、これが夢見た世界だ」と心の中で叫んだ。

子どもたちと初ドライブ

その日は、息子と娘を乗せて近場を走った。

息子は「すごい音!」「速そう!」と目を輝かせ、助手席の娘は「かっこいい!」と嬉しそうに声を上げた。

あの日、子どもたちと一緒に聞いたエンジン音は、きっと一生忘れない。

18歳の自分へ

ただクルマを走らせるだけなのに、全てが特別だった。

ギアを繋ぐたびに、18歳のあの日に抱いた衝撃が蘇る。

「夢を見ていた18歳の自分」に、胸を張って伝えたい。

「ついに叶えたよ」と。

第6章:納車の日──キーを回す瞬間

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