シリーズ一覧
- 第1章:夢の始まり──手の届かないはずだった、あのガヤルド
- 第2章:支出を整える──夢に向かう足場づくり
- 第3章:頭金をどう作ったか──リスクを取るという選択
- 第4章:妻に伝えた日──“本気なの?”のその先へ
- 第5章:納車までの道──ナンバー申請とガレージ問題
- 第6章:納車の日──キーを回す瞬間
- 外伝:納車直後のトラブル──鍵が回らない!?
夢にまで見たガヤルドが、ついに自宅へやってきた。
積載車のスロープを降りてくるブルーノヴァを、家族と一緒に見守ったあの瞬間は一生忘れられない。
妻が「きれいな色だね」とつぶやき、胸が熱くなった。
そしていよいよ、オーナーとして最初の儀式──キーを回す瞬間がやってきた。
キーが…回らない?
営業さんから渡されたキーをしっかり握り、運転席へ。
深呼吸して差し込み、いざ回そうとした──
……が、回らない。
何度差し直してもダメ。
強めに捻ってみてもビクともしない。
「え?」「なんで?」「ウソだろ…?」
あれだけ夢見たV10の咆哮が、目の前にあるのに鳴り響かない。
納車初日にして、まさかの“エンジン音おあずけ”状態になってしまった。
家族の反応と自分の焦り
子どもたちは「まだ動かないの?」と不思議そうに覗き込む。
妻は苦笑しながらこう言った。
「家くらい高いのに、納車されて速攻で故障とかあるの?」
その一言に、思わず吹き出してしまった。
夢を叶えた達成感と、現実を突きつけられる感覚が同時に押し寄せる。
「確かにそうだよな…」と心の中で苦笑しつつ、これもまた“オーナーの宿命”だと受け止めた。
調べてわかった“ガヤルドあるある”
その日の夜、ネットで必死に検索した。
すると「ガヤルドやランボルギーニのキーシリンダー固着は“あるあるトラブル”」だと知った。
輸入車、特にスーパーカーでは日常的に起こり得る症状。
湿気や埃、潤滑不足でキーシリンダーが固まり、回らなくなるという。
「まさか納車初日に、自分もそれを引くとは…」
苦笑しながらも、妙な安心感があった。
解決までの道
後日、鍵穴を掃除して専用潤滑剤を注入したところ、あっさりと回るようになった。
「カチッ」とした感触と共に、ついにエンジンがかかり、待ち望んだV10サウンドが自宅に響き渡った。
たったそれだけのことなのに、背中が震えるほど感動した。
納車当日に聞けなかった分、その喜びは何倍にも膨れ上がった。
ちなみに使った潤滑剤はこれ
下手によくある潤滑剤を注油してしまうと
返って悪くなることもあるので、鍵穴専用のものを使いましょう!
今だから言えること
その時は本当に焦ったけれど、今ではいい思い出だと思う。
夢のクルマには夢のトラブルがつきもの。
それを笑って語れることも、オーナーの特権なのかもしれない。
「夢を叶える」ということは、決して完璧で美しい瞬間だけではない。
トラブルごと抱え込みながら、それを含めて楽しむこと。
それが本当の意味で“夢を手に入れる”ということだと気づいた。